小林製薬・小林一雅会長Photo by Hiroki Kondo

小林製薬は得意の商品開発やマーケティング力を生かし、当期純利益が21期連続増益など、安定して持続的に成長を遂げている。最終回の4回目は、小林会長に持続的成長を可能にするための経営者としてのこだわりや人材教育などについて聞いた。(聞き手/ビジネスメディア編集局局長 麻生祐司)

一番大切なのは何かと問われたら
迷わず「社員」と答える

――小林製薬といえば、ニッチでユニークな商品、分かりやすいネーミングとテレビCMが広く世間に知られています。肝心の業績も当期純利益が21期連続増益を達成するなど好調です。安定した成長を可能にしている御社のDNAはなんだと思いますか。

小林 第一にいえるのは、新製品の開発力。小林製薬の社員には常に「新製品を開発しなくてはならない」という意識が、血液となって流れているということです。商品開発の担当者だけでなく、経営陣から一般社員まで徹底しています。

――つまり、全社員経営を目指している。

小林 そうですね。顧客と株主、社員のどれが一番大切かと問われたら、私は迷わず社員と答えます。結局、顧客や株主に喜んでもらうには社員がいい仕事をすることが一番ですからね。

――顧客や株主ではなく、社員が一番ですか。そこまで言い切れるのはすごいことだと思います。全社員経営のために、どのような工夫をしていますか。

小林 できるだけ公平に、社員すべてがハッピーになるよう対応しています。たとえばインセンティブ報酬も、取締役や事業部長クラスまでの会社が多いと思いますが、小林製薬は全社員のインセンティブを考えます。

 経営を担うトップ層だけがいい目を見るのでなく、全社員一律で公平に享受できることを原則としています。