大阪で今月開催されるG20は、海洋プラごみ問題への途上国の対策を促すと同時に、外交における日本のプレゼンスを高める良い機会である。一体なぜ日本にとってチャンスなのか、今回はその理由を述べたい。(久留米大学商学部教授 塚崎公義)
海洋プラスチックごみは、地球規模の環境問題
プラスチックは海水中でも分解されないため、海に流れ込んだものは半永久的に海中を漂い続けることになる。しかも、その量は決して少なくない。
世界経済フォーラムの報告書(2016年)によると、2050年までに海洋中に存在するプラスチックの量が魚の量を重量ベースで超過すると予測されている。
これが海岸に打ち上げられれば海岸線が汚れるし、海中を漂っているだけで船舶の航行の妨げになる。
生態系を含めた海洋環境への影響も懸念される。鯨が大量のビニール袋を食べてしまって死亡した事例などが報道されているが、おそらく発見されている事例は氷山の一角であろう。
さらには、小さな破片となって海中を漂う「マイクロプラスチック(サイズが5ミリ以下の微細なプラスチックゴミ)」の問題も深刻である。プラスチックの粒子は、海水中の有害物質を吸着すると懸念されているからだ。
仮にそうだとすると、マイクロプラスチックを魚などが食べてしまうことが問題になるが、さらにそれを人間が食べると、人体にも有害物質が蓄積してしまいかねない。これは由々しき問題である。