“倒産ムラ”のプロたちへの取材を基に、本編集部が独自にこれから増えることが懸念されている倒産の類型を七つに整理した。取引先や自社のリスクを考える際には、手掛かりにしてほしい。
目前に迫る チャイナ危機タイプ
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「中国事業は米中貿易摩擦の影響による米国向け売上高の減少等により、予想を約47億円下回る見込み」──。
米中貿易摩擦が日本企業に影響を与え始めた。5月9日、樹脂製の食品容器を中国で製造し、米国向けに輸出する中央化学の下方修正の文言が、投資家の注目を集めた。その後公表された2019年3月期の決算では、売上高が当初予想の570億円から8%減少。営業利益も予想から16%減の7.5億円だった。
既に発動されている米国の対中関税引き上げ対象品目には、プラスチックとその製品が含まれている。同社の製品の販路は米国のスーパーや外食産業向け。経営戦略室の担当者は、「関税引き上げ分を自社で吸収できればよかったが、無理だった。販売の減少という形で悪影響が出た」と説明する。
中央化学は内部留保がマイナスの上、株式時価総額に比べて有利子負債が大きい。このため今回の倒産危険度ランキングでワースト235位と危険水域に入っている。今後、米中の対立が激化すれば、同社の倒産危険度も跳ね上がる恐れが出てくる。
東京商工リサーチの友田信男常務取締役は、「トランプ米大統領の強気な姿勢に対して、中国側も反発を強めている。両国と経済的に関係を深めてきた日本企業は、報復合戦で大きなとばっちりを受けかねない」と懸念する。
米中の貿易戦争は持久戦の様相を呈している。米国が中国からの輸入品の関税を引き上げ、中国の通信機器大手ファーウェイとの取引を事実上禁ずる措置を取れば、中国も報復関税に加えて、米メーカーが依存しているレアアース(希土類)の輸出停止をほのめかすといった具合だ。米国が追加関税を10%から25%に引き上げた2000億ドル分の第3弾は、中央化学が下方修正を発表した翌日に打ち出された。米政権はほぼ全ての中国製品が対象となる第4弾の計画も表明しており、米中依存度の高い幅広い業種の日本企業に、影響が及びそうだ。