僕がやったのは、それぞれが大事にしていることをあえて共有する時間を持つこと。経営陣で合宿をして、お互いの生い立ちに始まり、会社のことを今どう思っているか、相手のことをどう思っているか、といったことを共有するのに時間を費やした。自分の生い立ちを話すのに、1人につき1時間くらいは時間を使った。

 すると相手の強いところも弱いところも、だんだんと見えてくる。たとえ共感しなかったとしても、「あぁ、この人も人間だな」と実感できるからだろう、少しずつお互いのわだかまりは溶けていった。

自分の本音をさらけ出せる
環境がある組織は強い

 たとえば、相手が自分の意見を否定したとき、アイデアが悪いから否定したのか、自分のことが嫌いだから否定したのか、本当のところは実はわからなかったりする。可能性は低いかもしれないけれど、自分のことが嫌いだから否定しているかもしれない。だからこそ、「100%そうじゃない」と思える、そう言い切れる信頼関係は、ダイバーシティ経営にとっても結構大きな要になる。

 アイデアが悪いから否定されたのか、自分のことが嫌いだから否定されたのかということも含めて、「こういう不安を感じている」と自分のことをさらけ出せる。これってすごく健全だし、組織力にも直結する重要なことではないだろうか。そういう状態をいかにつくり出せるか。個を生かす組織マネジメントは、そこがベースでありカギになる気がしている。

 freeeの価値基準の1つに、「あえて共有する」というのがある。これは「『あえて共有する』という価値基準なので、あえて言いますけれど」というように、ある種の免罪符になっていて、「何でも言いやすい」会社の雰囲気をつくるのに一役買っている。組織としてすごく重要なベースだ。

 それこそ、会社の方針なんかもすべてドキュメントにまとめて全社員に公開しているので、「何でこんなことをするんだ」とたまに炎上することもある。けれども、何でも話せるオープンなスタンスを取る組織としては、それは致し方のない代償ではある。

 とにかく、そうしたネガティブなこととも向き合って、コミュニケーションしていく。「お互いを知る」ことをベースに、境界線を広げるようなコミュニケーションを積み上げていけば、今世の中でいわれているダイバーシティの問題はきっと解決できるし、組織はもっと強くなれると思う。