だが、ヤフーがロハコを取り込むことは「ソフトバンクグループにとって良いかもしれないが、アスクルの少数株主の利益にはならない」と岩田社長。“乗っ取り“という過激な表現を持ち出してまで、上場子会社のアスクルは、その親会社のヤフーとの利益相反が発生している現状を訴えた。

ロハコ切り離しは第2位株主が提案
総会で岩田社長の再任否決は必至に

 ヤフーが、アスクルにロハコ事業の譲渡の検討を要請したのは今年1月15日。アスクルにすれば、「宝」のロハコを譲るなど受け入れがたかった。

アスクルの個人向けEC「ロハコ」。法人向け通販で培った自前の物流網を活用していく Photo by Reiji Murai

 アスクルは、文具の通販で培った企業向けの物流ネットワークを個人向けECのロハコでも活用し、相乗効果を引き出すことを基本戦略としていた。アマゾンに対抗せず、物量を追わない戦略を策定したばかり。そのロハコを切り離すことはあり得えず、ヤフーの要請を2月26日付で正式に断った。

 このときすでに、ヤフーとアスクルが12年の提携当時に結んだ「イコールパートナー」の関係は破綻していた。ヤフーの川辺健太郎社長は6月27日に東京・江東区のアスクルを訪問し、筆頭株主として岩田社長に退陣を要求。両社の亀裂は決定的なものになった。

 退陣を要求した場で川辺ヤフー社長は岩田社長に対し「第2位株主のプラスさんも同調しているので、過半数が否決です。きれいに身を引いたらいかがですか」と迫ったという。事務用品大手のプラス(東京都港区)は、アスクルの第2位株主。そこからスピンアウトしたのがアスクルで、生みの親でもある。

 プラスがなぜ、岩田社長の再任に反対するのか。岩田社長はプラスの今泉公二社長に真意を確かめた。ロハコの譲渡を提案したのはなんと、今泉社長自身だったという。

 「赤字のロハコを切り離せば、保有するアスクルの株価は上昇する」。それが今泉社長の持論だった。

 8月2日のアスクルの株主総会で約45%の株式を保有するヤフーと11%強の株を持つプラスの2社が共同歩調をとる方針で、岩田社長の退任は避けられなくなった。すでにヤフーは、アスクルが申し入れた資本・業務提携の解消の協議を拒否している。アスクルの株主総会を待って粛々と議決権を行使し、岩田社長の“解任”を実行する方針だ。