債券の魅力度は相当低い

 リスクが高いとの批判は、すなわち株式の比率が高いと批判していることになります。資産運用における資産配分とは、究極的には株式と債券の間の配分であり、株式が多いと指摘することは、その分、債券に多めに配分しろ、と言っていることになります。

 今の債券は日本を筆頭に世界中で超低金利の状態にあるため、歴史的に見てもかなり魅力がない状況と言えます。実際、弊社の長期(10年)の期待リターン予測モデルによると、グローバル債券(円ヘッジ)の名目期待リターンは0.9%となっています。当モデルでは債券の長期平均的なリターンは3.8%と見ており、今後10年の債券のリターンは過去と比べても非常に低くなっていると理解できます。一方、グローバル株式(円ベース)は、名目期待リターンは5.7%となっています。株式の長期平均は7.0%ですので、過去と比べて魅力が高いとは言えませんが、債券よりは高いリターンが期待できると見ています。このような名目期待リターンを用いると、10年後に株式が債券を上回る確率は84%にもなります。

 もちろん、これは弊社の予測モデルに基づいたものですので、これで意思決定はできないと思いますが、それでも単純に「株式=リスクが高いので危険、債券=リスクが低いので安心」と考えてしまうことの弊害については熟慮する必要があると思います。特に、日本国債に多めに配分するということになると、万一の際には、国と心中することになりかねず、社会保険料を払っている勤労世代としては受け入れ難いのではないでしょうか。

給付減額や保険料引き上げは難しい

 一般的に年金制度では、給付は保険料と運用リターンで賄われるため、年金改革の方向性としては、(1)リスクをとって株式で運用しリターンを高める、(2)運用に期待するのをやめて保険料を上げる、もしくは(3)給付を下げることで保険料と運用の負担を下げる、の三つになります。このように、年金の仕組みは至ってシンプルなのです。どの選択肢が受け入れやすいでしょうか?

 もちろん、勤労世代にとっては、(3)の現在の給付額を削減し、将来世代のためにそのお金を残しておいて欲しいと思うかもしれませんが、これは政治的に容易なことではありません。しかもすでに自動的に給付額を減らす「マクロ経済スライド」が2004年の年金改革で導入されているため、これ以上の削減は難しいでしょう。となると、残された選択肢は(1)か(2)になります。ただし、もし保険料を上げるのであれば、2004年に実施した年金改革の主旨(厚生年金の保険料は最大で18.3%に固定)に反するため、実施するにはかなりの説明が必要となると思います。保険料率を上げることなく保険料収入を増やすために、勤労世代の数を増やす方法も考えられますが、これには出生率の改善や移民の受け入れなどが必要であり、どちらもすぐに実現できることではありません。