――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコが勢いづいている。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は9日、アラムコが新規株式公開(IPO)計画を加速させ、早ければ来年初めに上場を目指すと報じた。実現すれば世界最大規模のIPOとなる。アラムコはいったん上場を断念していたが、それ以降に風向きが追い風に変わった可能性がある。サウジには計画を前進させるもっともな理由もある。ただし、上場を実現させるには、市場の期待をリセットすることが不可欠だ。ムハンマド・ビン・サルマン皇太子はかつてアラムコのIPOを巡り、企業価値が2兆ドル(約210兆円)になり得るとの見方を示した。それは2016年初めのことで、当時は原油が12年ぶり安値に沈み、サウジは外貨準備を切り崩していた。それ以降、アラムコはいくつか大きな障害を乗り越えてきた。国際石油取引の指標油種であるブレント原油先物は現在、昨年つけたバレル当たり80ドル半ばこそ下回っているものの、16年からは2倍に値上がりしている。アラムコは120億ドルの起債も完了し、財務情報を公表するという最大の課題の一つを克服した。これら全てが、2度目の挑戦となる上場が実現する可能性が高いことを示している。