東京・五反田のポーラ・オルビスホールディングスの登記上の本社
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化粧品大手のポーラ・オルビスホールディングスの元ナンバー2が鈴木郷史社長による書類捏造疑惑を内部告発したことで始まった巨額の遺産訴訟に関連し、疑惑当時の取締役が一時、鈴木社長による捏造を認める趣旨の発言をしたことがダイヤモンド編集部の取材で分かった。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)

 証人尋問という裁判のヤマ場を目前に控えた今年7月。内容が原告の主張通りとすれば、ポーラ・オルビスホールディングス(HD)の鈴木郷史社長にとって極めて不利な音声データがさらに1本あることがダイヤモンド編集部の取材で分かった。

 録音されていたのは、HD元ナンバー2とある男性(元取締役)との会談内容だ。男性はHDのOB社員で、捏造疑惑が浮上している2000~01年当時はポーラ化粧品本舗(現ポーラ)取締役。元ナンバー2は当時、同社の秘書室長だった。

 以下は原告から東京地裁に証拠として提出された音声データ(1時間59分)の反訳文(書き起こしメモ)から、裁判の争点になりそうな部分を時系列に沿って抜粋したものだ。なお文中の「××さん(元専務)」は原告の主張によれば、鈴木社長の指示の下、元ナンバー2らと共に捏造に加わった人物だが既に亡くなっている。

 会談は今年5月31日、横浜市のホテルで行われた。

「君の言ってることはうそでない」「魔法みたいだね」

元ナンバー2 「○○さん(元取締役)には××さん(元専務)が生前、この本件の不正の件とかお話しされてたんじゃないかなと思ったんですよね」

元取締役 「全部知ってる

元ナンバー2 「全部知ってるんですか」

元取締役 「全部知ってる。だから君の言ってることはうそでないなと

 (中略)

元ナンバー2 「○○さん(元取締役)に××さん(元専務)が、あの、本件、こう、お伝えしたっていつぐらいなんですか」

元取締役 「いや、もうその都度聞かされてた

元ナンバー2 「都度?」

元取締役 「いや、俺と××さん(元専務)(との間に)なかったもん。その、お互いに秘密。俺は何でも××さん(元専務)に話してた」

 (中略)

元取締役 「全部知ってる

元ナンバー2 「あの、ポーラ不動産株の件も、あの、お、寄付確約書の件も全部」

元取締役 「だから俺言ったことある。××さん(元専務)、それって魔法みたいだねって」

元ナンバー2 「じゃあ、あ、その、鍵があった件も全部○○さん(元取締役)におっしゃってたわけですか」

元取締役 「うん

(本編集部注:元ナンバー2は鈴木常司会長<鈴木社長の叔父>の死後、会長室の机の引き出しの鍵が偶然見つかったため、常司会長の実印が書類捏造に悪用されたと主張している。一方、ポーラ遺産訴訟において被告の鈴木社長側は「全くの虚偽、創作」だと主張)

 (中略)

元ナンバー2 「相談役(=元取締役)が『あれは郷史が黒だ』つって言い切ったっていう話がこう漏れ伝わってきて」

元取締役 「黒とは言わんけど、ほとんど真実だと

元ナンバー2 「で、そういう話が私のところに……(以下聞き取り不能)」

元取締役 「だって俺聞いてたのと同じ