化粧品大手ポーラ・オルビスホールディングス(HD)の鈴木郷史社長が、ポーラ美術館のゴッホやピカソなどの美術品にまつわる不正行為を行ったという疑惑を、美術館を運営する財団の元関係者が本誌に初めて明かした。鈴木社長は最近、契約書捏造によってグループ株式を取得した疑惑を現役取締役から告発されたばかり。第2の告発によると、同じく書類捏造により、鈴木社長が理事長を務める財団に対し不正に美術品が寄付された疑惑があるという。(「週刊ダイヤモンド」編集部 土本匡孝)
ポーラグループ2代目社長である鈴木常司氏が亡くなった約4ヵ月後の2001年3月1日。神奈川県・箱根にあるポーラ美術館(02年開館)を運営するポーラ美術振興財団の設立準備事務局(当時)関係者は、この日にポーラグループ幹部らに東京・五反田で会い、疑惑の書類を受け取ったと本誌に明かした。
鈴木郷史社長の指示を受けて動いていたグループ幹部らは「常司氏の生前に預かっていたということでお願いします」と言って、常司氏の生前を装って作られた美術品の寄付確約書を渡してきたのだという。それが真実であれば、書類の捏造によって、美術品を財団のものにしたことになる。
国内化粧品4位の東証1部上場、ポーラ・オルビスホールディングス(HD)が揺れている。鈴木社長に対する不正疑惑の告発はこれが初めてではない。
鈴木社長は17年末、かつてHDナンバー2だった取締役(3月27日で取締役退任)から「常司氏(叔父)から鈴木社長(甥)への資産継承問題に関連し、自身への株式譲渡契約書を常司氏の生前を装って捏造した」と告発されたばかり(「週刊ダイヤモンド」2018年3月24日号、「ダイヤモンド・オンライン」2018年3月15日付記事で既報)。
鈴木社長は株式譲渡契約書の捏造疑惑については、HD広報を通じて事実関係を否定。3月27日開催の株主総会招集通知資料の中で「取締役に対して2月21日開催の取締役会において辞任勧告を決議」と説明している。