「玄米や雑穀、全粒粉なら太らない」という広く流布している嘘について前回は解説した。実際、そうした誤ったイメージを利用した商品があふれ、ダイエット食と思って逆に太ってしまう食事を続けている人がいる。今回はそうしたイメージに踊らされている例として、よく目にする「全粒粉パン」や「グルテンフリー」、グラノーラについて解説し、表示や成分をしっかり確認することの重要さを説明する。

グラノーラやグルテンフリー食品を、「食べないほうがいい」と医者が警告する理由Photo: Adobe Stock

全粒粉や雑穀に幻想を抱く消費者
それを利用する商業主義

 前回「玄米やそばなら太らない」は大嘘では、「炭水化物でも茶色い炭水化物なら太らない」といった間違った知識の氾濫に警鐘を鳴らしました。そして、そうした「全粒粉やそばなら太らない」といった嘘に基づくイメージを利用した商業主義にダマされないように警告したところ、多くの反響をいただきました。
 
 それだけ、ダマされていたことに気づいていなかったのでしょう。「健康のために全粒粉を使った製品を選んだのに……」「太らないと聞いたから、ランチはそばにしたのに……」といった後悔の声が聞こえてきそうです。雰囲気に踊らされず、表示や糖質量などをしっかりチェックするべきでした。

 たしかに、小麦のみならず、大麦、米、そば、その他あらゆる雑穀類も含め、穀類を食べるのなら、精製せずに、そのまま丸ごと(丸ごとの穀類を「ホールグレイン(whole grains)」と言います)食べたほうがいいです。

 ところが、この知識が中途半端な人がいて「ホールグレインもどき」にダマされている人がたくさんいます。少ししか全粒粉が使われていないパン(つまり、ほとんど白いパンと同じ)を、「全粒粉だから体にいい」とパクパク食べているのです。

「グルテンフリー」を糖質フリーと勘違いしないで!

「グルテンフリー」も誤解されているようです。「グルテンフリー=糖質フリー」だと思い込んでいる人が結構います。

 グルテンとは小麦に含まれるタンパク質の一種で、アレルギーの原因となります。だから、小麦アレルギーの人はグルテンフリー食品に助けられますが、そこには小麦粉の代わりに米粉などが使われています。ですから、糖質たっぷりなのです。

 間違っても「グルテンフリーはダイエット食」だなんて勘違いしないでください。