全国各地で「補償運転」という高齢ドライバー対策が徐々に広がっていますが、なかでも北陸の動きが活発です。全国各地で「補償運転」という高齢ドライバー対策が徐々に広がっていますが、なかでも北陸の動きが活発です Photo:PIXTA

全国で徐々に広まる「補償運転」
高齢ドライバー対策としての現実解?

 富山県警が2018年4月から試行している「やわやわ運転」。また、福井県が2019年8月から正式導入した「限定運転」。高齢ドライバー事故対策で、県警や県が主体となった具体的な動きが出てきた。

 こうした各地の「○○運転」は学術的に「補償運転」と呼ばれる考え方だ。「補償」と聞くと損害保険に関わる用語かと思ってしまうが、そうではない。

「補償運転」とは高齢ドライバーの場合、加齢による身体機能の低下をドライバー自身が認識し、そのうえで走行する時間帯や場所などの条件について宣言して運転するというもの。法的拘束力はない。

 法的拘束力がある運転条件の限定については、運転免許証における限定項目として設定している事例がオーストラリアなど海外で存在する。

 日本の警察庁でも、高齢ドライバー対策に関する有識者会議の中で2017年頃から協議を進めおり、いわゆる自動ブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)など先進安全技術を搭載したセーフティ・サポートカー(通称サポカー)に乗ることを限定項目とする案が実現する可能性はある。

 だが、走行する時間帯や場所を限定項目に入れ込むことについては、警察庁としては慎重な姿勢のままだ。

 その理由としては、各都道府県の市町村で社会状況や交通事業の違いが大きいため、全国一律の限定項目を設定すること、また限定違反に関する判断が難しいからだと思う。