2018年10月に発表された、世界銀行とシンガポール太陽光エネルギー研究所の調査によれば、水上太陽光発電の世界的な導入容量は1.1GWに達したとされている。

 またソーラープラザ(オランダ)の調査によれば、水上太陽光発電規模の世界トップ100(合計246MW)のうち、50%以上が日本に集中しているという。ちなみに山倉ダムの発電所は、中国・安徽省の世界1位、2位の2つの発電所に次ぐ世界3位の規模だ。

 なぜ日本でこれほど水上太陽光発電が導入されているのか。その大きな理由の1つが建設用地の少なさだ。

 2012年に固定価格買取制度(FIT)がスタートして以降、爆発的に地上型太陽光発電所が増えた。そのため平地では用地を確保できなくなり、丘陵地へと建設場所が移った。ただ、森を切り開くのは環境破壊につながり、継続的な開発には限界がある。そこで白羽の矢が立ったのが水上。開発用地に限りのある日本の太陽光発電ビジネスにおいては、まさに“救世主”といえた。

メリットは投資効率の良さ
強風への耐性に不安も

 水上太陽光発電にはメリットが多い。

 まずは何よりコストの安さ。発電事業者にとって、太陽光パネルはフロートで浮かせてアンカーを湖底に打ち込み設置するため、土地の取得や造成が不要で初期コストを抑えられる。さらに、水上ならパネルの発熱を抑えられるため発電効率が上がる。