羽田空港国際線は1枠で大きな収益押し上げ効果が期待できる“ドル箱”路線。日系の新たな就航計画が控える中、米デルタ航空は来春に首都圏路線を羽田へシフトし、「逆襲」を始める。(ダイヤモンド編集部 柳澤里佳)
「成田“撤退”といわれるのは、正直とても不本意です」。米航空大手のデルタ航空幹部はこう打ち明ける。同社は8月中旬、成田国際空港から撤退して羽田空港に首都圏発着路線を集約すると発表した。確かに成田撤退、ではある。
2020年春から羽田の国際線発着枠が拡大することに伴い、デルタは成田~シアトル、デトロイト、アトランタ、ポートランド、ホノルルの米国5路線を羽田へ移管。成田~シンガポール、マニラ線は廃止する。羽田集約後、米系キャリアーでは羽田で最多便数を運航することになる。
16年の日米航空交渉の結果、デルタは羽田~ロサンゼルス、ミネアポリス線を開設。その一方で成田~ニューヨーク線をはじめとする路線から撤退し、“成田離れ”を加速させていた。
しかし、である。10月初旬、来日した国際事業部門社長兼グローバルセールス執行副社長のスティーブ・シアー氏は会見で冒頭の幹部と同様、複雑な胸中を語った。「成田で40年間運航してきましたが、その前の30年間は羽田で運航していました。だから(羽田へのシフトは)ベースに戻ってきた気分なんです」