中国は通常なら、「郷に入っては郷に従う」外国企業から欲しいものを手に入れる。だが、今回の米プロバスケットボール協会(NBA)との対立では、NBAは中国が望むものを与えることに抵抗している。他ならぬ「謝罪」だ。多くの米企業はこれまで、国内でほとんど話題にされることなく、「中国の人々の気分を害した」として中国に謝罪してきた。しかしながら、今回は事情が異なる。その結果、中国の伝統的な「謝罪儀礼」が台無しにされている。その理由の1つに、NBAが異例のレバレッジ(交渉上の相対的優位性)を有していることがある。普段はアジアの地政学情勢にあまり関心を示さない米国民に対し、NBAは相手を力でねじ伏せる中国のやり方をテレビを通して伝えているのだ。