連載「新学閥 早慶・東大・一橋・名門高校」(全19回)の第8~13回は地方編。名門大学、名門高校が群雄割拠する首都圏と異なり、地方には地元政官財を牛耳る鉄壁の大学閥と高校閥が存在する。お国柄溢れる各地の最新ネットワークを解剖しよう。第8回は北海道をお届けする。(「週刊ダイヤモンド」2019年7月13日号を基に再編集。肩書や数字は当時のもの)
勢力失う北大閥は
逆襲なるか
北海道は移住者たちによる開拓の歴史から、他の地域と比べると因習、慣習に縛られない土地柄といわれる。それ故、学閥意識も相対的に低いとされる。
とはいっても、地元経済界や北海道庁では、北海道大学を頂点としたヒエラルキーが厳然と存在してきた。例えば、道庁においては法学部出身者を中心に北大閥が幅を利かせてきた。
しかし、道庁の北大閥はこの十数年で急速に力を失ったといわれている。その理由は、2003年から4期にわたって北海道知事を務め、参議院選挙への出馬のため今年4月に知事を退いた、高橋はるみ前知事にある。高橋前知事は富山県出身で一橋大学卒業だ。
「高橋知事の誕生により、北大閥は人事への影響力を失い、最後の方は3人の副知事に北大卒が一人もいないときさえあった」と地元の事情通は言う。
この流れを変えたのが、今春、夕張市長から道知事に転じた鈴木直道氏だ。鈴木知事は高橋人事を刷新し、副知事全員と部長級の大半を入れ替えたのだ。この結果、副知事における北大出身者は2人に盛り返した。