特集「新学閥 早慶・東大・一橋・名門高校」(全19回)の第8~13回は地方編。名門大学、名門高校が群雄割拠する首都圏と異なり、地方には地元政官財を牛耳る鉄壁の大学閥、高校閥が存在する。お国柄溢れる各地の最新ネットワークを解剖しよう。第9回は東北編をお届けする。(「週刊ダイヤモンド」2019年7月13日号を基に再編集。肩書や数字は当時のもの)
東北大学より強い!
仙台一高・二高の強力学閥
「杜の都の早慶戦」。それは、仙台出身のエリートが一年で最も盛り上がる一大イベントだ。毎年5月に開かれる仙台第一高校(一高)と仙台第二高校(二高)の野球定期戦の歴史は、1900年までさかのぼる。
男子校時代の校風も、一高はバンカラ、二高はハイカラとされ対照的。共に宮城県を代表する名門進学校で、大学合格実績でも競い合ってきた。仙台では東北大学出身者よりも、一高、二高の出身者の方が一目置かれるとされ、地元経済界や宮城県庁、仙台市役所に強固なネットワークを築いている。
「一高とは、しのぎを削りつつリスペクトし合うという良きライバル関係です」と、二高在京同窓会(会長・上條努サッポロホールディングス取締役会長:インタビュー記事はこちらを参照)の練生川淳志幹事長は言う。しかし、近年、その関係に変化が生じている。2019年度入試の大学受験実績で言えば、東京大学合格者数が一高の2人に対し、二高は17人。京都大学は一高1人、二高は10人だ。かつてはより歴史のある一高の方が学力で勝るとされたが、二高が逆転し、その差を広げているのだ。