睡眠時間や深さを計測できる睡眠アプリや、香りや光の揺らぎ、雨音などで眠りに誘う睡眠ギアなど、先端テクノロジーを駆使した「スリープテック」市場が拡大中。さらに最近では着て寝るだけで良質な睡眠を促す「リカバリーウェア」市場が盛況だ。

1兆円市場に
アンダーアーマーも参入

快適な睡眠をサポートするグッズが次々に世に出ています
睡眠を改善し疲労回復に導くとされるリカバリーウェア。スポーツメーカーも含めてさまざまな企業が参入している

「寝ても疲れが取れない」「寝付きが悪い」「朝すっきりと起きられない」――。働き盛りのビジネスパーソンの中で、睡眠に何らかの不満を持つ人は多いのではないか。実は筆者もその1人で、50代を目前にして睡眠の質が悪くなったことに悩まされている。

 厚生労働省の「平成29年 国民健康・栄養調査」によると、睡眠時間が6時間未満の割合は男女共に40代が最も多く、それぞれ48.5%、52.4%。一般的に大多数の人は1日7~9時間の睡眠時間が適切といわれる中、寝不足が常態化している中年男女の姿が浮かび上がる。同じ調査で「睡眠で休養が十分にとれているか」と聞くと、これも「とれていない」との回答が最も多いのが40代で30.9%。40代のおよそ3人に1人が“睡眠負債”を抱えているのが日本の現実だ。

 こうした現状から「不眠大国」ともいわれる中、花盛りなのが睡眠ビジネスだ。市場は今や1兆円以上とされ、今後も拡大が見込まれている。盛況な分野の一つが、先端テクノロジーを活用した「スリープテック」だ。スマホで睡眠時間や睡眠の深さを計測できる睡眠アプリや、香りや弱い光の揺らぎ、雨音やせせらぎの音などで眠りに誘う睡眠ギアなど、市場にはさまざまなサービス、グッズがあふれ返っている。

 一方、近年スリープテックとともに注目を集めているのが、着て寝るだけで疲労回復や良質な睡眠を促す「リカバリーウェア」と呼ばれる新しい衣服だ。先導したのが、2009年にプラチナなどの鉱物を練り込んだポリエステル繊維を使用したリカバリーウェアを発売した神奈川のベンチャー企業、ベネクス。着用するだけで、プラチナなどが発する微弱な電磁波が疲労回復を促すとされ、一部の愛好者の間で広がりを見せた。

 その後、2016年にはゴールドウィンが、光電子繊維を採用した「C3fit Re-Pose」を投入。人体から出る遠赤外線の熱を光電子繊維が吸収して肌に輻射し、体を暑くなり過ぎない自然な温かさに保温することで、深い眠りに誘う設計だ。現在も男女のスウェット上下などを販売している。

 さらに、プロ野球の読売ジャイアンツにユニフォームを供給していることでも知られる人気スポーツメーカーのアンダーアーマーが、2017年にアスリートの睡眠専用として「リカバリースリープウェア UA TB12」を発売している。半袖Tシャツや長袖Tシャツの裏地に、体の熱を吸収して遠赤外線エネルギーとして反射するバイオセラミック粒子「セリアント」を含有。遠赤外線によって血流が促進され、深く長く眠れるようになる、というのがうたい文句で、遠赤外線の輻射熱を利用する点はゴールドウィンの商品と同じだ。