今回、蓄電システムを導入していない家庭は486件だったが、そのうち約8割が自立運転の機能を利用し、停電時に有効活用したという。残り約2割は使用方法が分からなかった模様で、自立運転機能の周知が課題として残る。

 なお、蓄電システムを併設していた家庭は1799件で、そのほとんどが自立運転機能を使って自家発電したと見られる。

コストパフォーマンスが悪く
普及率はいまだに6%

 このように普段の生活だけでなく、災害時にも役立つ住宅用太陽光発電だが、日本ではまだそれほど普及していない。調査会社の富士経済の調べによれば、太陽光発電システムを設置している住宅戸数は2018年度に322万戸と推計されており、普及率は6%に止まるという。

 その理由を業界関係者に聞くと、多くが「導入するコストが高いから」と口をそろえる。

 例えば国際エネルギー機関・太陽光発電システム研究協力プログラム(IEA PVPS)の15年の調査によれば、住宅用太陽光発電システムの価格は、再生可能エネルギーの先進国であるドイツと比べて日本の方が約6割も高かったという。

 住宅用太陽光発電システムのイニシャルコスト(初期費用)は150万円前後で、これにメンテナンスなどのランニングコストが必要とされている。固定価格買取制度(FIT)による売電価格は太陽光発電の設置費用や撤去費用が回収できることを前提に設定されており、住宅用太陽光発電の電気の買い取り期間が10年間であることから、投資回収にかかる期間はこの10年が目安とされている。ただし、システムが高額などといった理由で、FITで想定している導入コストを上回るようなことがあれば10年以上かかる可能性もある。

 自然エネルギー財団によれば、日本でのイニシャルコストが高い背景には、日本企業製の太陽光パネルのシェアが約7割あり、価格競争が少なかったことが挙げられるという。例えばドイツでは、ドイツ企業製と中国や台湾企業製が大半を占めており価格競争が激しかった。

 これに蓄電システムを導入すると、イニシャルコストが2倍近くになることもある。非常用電源として役に立つとはいえ、年に数回あるかどうかの事態に備えて数百万円のコストをかけることにためらいが出るのは仕方ない。

 コストはメーカーによってまちまちで、ここでの金額はあくまで目安だが、こうしたことから、住宅用太陽光発電システムや蓄電システムはコストパフォーマンスが悪いと消費者にみなされてきた。