CBDビジネスが盛り上がりを見せる一方で、違法なCBD製品が日本国内で発覚したケースは既に存在している。なぜそんなことが起きたのか。なぜ税関を通り抜けることができたのか。制度も法も追い付いていない日本はグリーンラッシュとどう向き合えばいいのか。(ダイヤモンド編集部 相馬留美)
日本最大手の「コンプラ違反」
業界に激震
「やらかした可能性があります、ご注意ください」――。
大麻由来成分「CBD(カンナビジオール)」の取材を進めていた記者に10月24日、ある取材先から突然メッセージが届いた。
注意喚起とともにメッセージに記されていたのは、日本でCBD製品を販売する最大手といわれる日本エリクシノールの親会社、米エリクシノールのウェブサイトのアドレスだった。
同サイトには、「日本で販売している製品にコンプライアンス違反があったこと」に加え、その違反が「麻の茎と種子のみから調達するという日本の要件に関連したものである」ということが書かれている。
どうやら生産工場の内部告発によって発覚したようで、11月中旬に調査結果を発表するとしている。それを受け、11月10日時点で、日本エリクシノールは製品の出荷を停止している。
本特集の第2回で書いたように、大麻製品であるCBDを日本に持ち込むためには、「大麻取締法」および「麻薬及び向精神薬取締法」上、二つのルールがある。一つは成熟した茎または種子から抽出すること。もう一つはTHC(テトラヒドロカンナビノール)を含まないことだ。
今回のコンプライアンス違反は、前者に関する違法行為があったのではないかということになる。
「あの大手でもこういうことがあるのか」
このコンプライアンス違反が発表されると、関係者は騒然となった。
そこまで業者がうろたえるのには理由がある。