異業種ならではのスピード感が
停滞する地銀再編の背中押すか

 SBIは、同構想発表から約2カ月で二つの地銀に出資を決めるという異例の速さで動いている。

 一般的に、地銀再編の停滞のネックと指摘されるのが、預金勘定などを担う銀行の“心臓”部分であるシステムだ。システムをどちらかの銀行にそろえるか、それに伴う事務処理の刷新にどう対応するか、といった問題が生じるからだ。

 その点、かねてSBIの北尾社長はシステムコストが地銀の課題だと指摘し、「第4のメガバンク構想」においてクラウド上の共同システムを地銀に解放する構想を描く。参画地銀でコストをシェアするため、1行当たりの費用は安く済むという。再編の課題であり、同時に莫大な更新コストが必要なシステムで悩む地銀にとって、SBIの提案は魅力的に映るはずだ。

 11日の記者会見。福島銀の加藤社長は異業種であるSBIと提携した理由として、新しい技術を持つ企業との連携の重要性を語ったという。

 SBIはインターネットの技術や証券会社流の金融商品の販売ノウハウなど、地銀にはないビジネス上の優位性を持つ。だがそれのみならず、システム面などの障壁が少ないなど、異業種だからこそ実現できるスピード感も提携の一助だろう。今後も銀行の“外の風”が、再編をちゅうちょする地銀の背中を押すかもしれない。

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