京大卒の青年が入社初日に即日退社!
「令和」は退職代行が当たり前の時代
4月1日入社の京都大学卒業の青年が、入社初日に退職代行サービスを利用して即日退職した。退職代行サービス業者のEXITで、社長自らが「エイプリルフール!」と苦笑してしまう珍事が起きた。社長はツイッターでつぶやいた。「令和時代に生まれる子供たちは退職代行が当たり前の時代に生きるんだなぁ、感慨深い」。
息子、娘の尻拭いは親が引き受けるもの――。そんな常識はもう古いのかもしれない。わずか数万円の退職代行サービスを使えば、リモートで会社を辞められる。
本人に代わって、代行業者が退職の意思を職場に電話で伝えるのが基本サービス。代行業者が弁護士事務所の場合は、未払い残業代請求など金銭交渉を代行するサービスもある。
成功率100%という老舗の退職代行ニコイチによると、EXITの存在がSNS上で拡散されたことで昨夏ごろから認知度が高まり、40以上の業者が乱立する事態になった。主な利用者は20~30代と若い。特に入社、異動時期の4月は書き入れ時で、ニコイチには新卒入社の若者から毎日平均10件の依頼があるという。
サービスがはやる背景には、超売り手市場があろう。有効求人倍率はリーマンショック以降、上昇の一途をたどり2018年1.61倍、転職者数は329万人。辞めても次があるという安心感が背中を押しているのだろう。
一方で人手不足の会社では簡単に辞めさせてくれない。民法では2週間前の申し入れで問題ないが、「就業規則で3カ月前」と言い張る会社もある。そこで数万円で済むならばと、初めから退職のプロに任せるケースもあるわけだ。
働き手の転職意識の高まりに加えて、大企業では希望退職を40歳そこそこで募るなど事実上のリストラも横行している。
日本の長期安定雇用は、労使双方の事情から、音を立てて崩れつつある。現状を追認するように、経団連の中西宏明会長は4月19日、「正直言って、経済界は終身雇用なんてもう守れないと思っている」とコメント。日本の伝統的な雇用システムを根底から見直す時期に来ている。