就任2年目を迎えるみずほフィナンシャルグループ(FG)の坂井辰史社長。みずほFGの前身である旧日本興業銀行出身で東大卒という2点においては前任の佐藤康博会長と同じだが、中核子会社である銀行の頭取を経験せずに、傘下のみずほ証券社長から就任したことで、金融業界内では異例の社長として注目された。
そんな坂井体制の2019年4月の人事を分析すると、今年のテーマが「坂井体制の地盤固め」だったことをうかがわせる。順を追ってみていこう。
坂井社長は佐藤会長との間に8年の年次差があり、昨年の交代劇でみずほは近年稀に見る若返りを経験した。
こうした大胆な若返りが起きたことで、新任の坂井社長に年次を追い越された実力者たちをどう処遇するかが注目を浴びた。銀行は入行年次に基づく上下関係を絶対とする、「ピラミッド型」の組織体制が原則だからだ。みずほFGの場合、昭和59年入行の坂井社長より先輩である、昭和55~57年(1980~82年)入行組をどうするかであった。
坂井体制発足の18年4月1日付けで、まず2人の大物がスライドする形でFG首脳級ポストから外れた。
◎菅野暁・FG副社長
グローバルコーポレートカンパニー長(当時)[S57、興銀、東大]
→ アセットマネジメントOne社長へ(現任)
◎中村康佐・FG副社長
大企業・企業・公共法人カンパニー長(当時)[S56、興銀、東大]
→ みずほ証券会長へ(現任)