今年、銀行最大手の三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)で起きた首脳人事が波紋を呼んだ。その理由は二つある。「トップ兼任」と「旧行の指定ポストの崩壊」だ。

 まず一つ目から説明しよう。4月、6年にわたりFG社長を務めた平野信行氏[入行年次:昭和(S)49年、出身行:旧三菱銀行、出身大学:京都大学、以下同]がFG会長に退き、中核子会社の三菱UFJ銀行の頭取である三毛兼承氏[S54年、三菱、慶應義塾大学]にFG社長の座を禅譲した。

 その一方で、三毛氏は銀行頭取ポストに留任し、二つの首脳ポストを兼任することになっている。

 こうした持ち株会社と子会社のトップの兼任は、ガバナンス上で問題があると指摘される。金融当局は、業務を監督する持ち株会社と業務を執行する傘下子会社は立場を分離するべきだという見解を持ち、これを受けて大手金融機関では、持ち株会社と子会社のトップを分ける動きが進んでいた。

 事実、三菱UFJサイドも兼任については「ガバナンスの本来のかたちからすれば、必ずしも望ましいとはいえない」(平野氏)という認識を持ってはいる。それでもなお、「構造改革を加速させるには早期に強力なリーダーシップを確立する必要がある」(同)ことと、三毛氏の「(銀行頭取の)在任期間がまだ1年半」(同)と短いことの二つが兼任を選んだ理由だという。