地形を生かした体験ツアーや
「おもてなし文化」にまつわる展覧会も

台湾芸術祭から垣間見える、台湾人のアイデンティティの変化阮義忠「北埔」。レンガ造りの家々の窓をフレームに見立て、昔の北埔の風景や人々の写真を展示している。 画像提供:ロマンチック台三線芸術祭

 次に、林怡華(エヴァ・リン)氏がキュレーションをする、新竹県の北埔(ベイプー)エリア。「北埔老街」は客家文化を味わえるスポットとして、近年は観光客が増えつつある。細い路地にレンガ造りの家が密集し、独特の町並みが形成された背景には、原住民と土地を求める客家人との衝突や、日本軍との攻防の歴史がある。

台湾芸術祭から垣間見える、台湾人のアイデンティティの変化客家人の習慣「奉茶」をテーマとした展覧会を開催する台北市。客家人にとってお茶は生活の一部だ Photo by H.K.

 続いて、Nakaw Putun氏がキュレーションをする、苗栗県の大湖(ダーフー)エリアだ。山深くに位置する大湖では、生活のために切り開いた水路が、今も数多く残されている。ここでは地形を生かした体験ツアーに参加することができる。

 最後は台北市。キュレーターの范赫鑠(ファンフェシュ)氏は、松山文創園区に位置する巨大なギャラリーで、客家人の習慣「奉茶」をテーマとした展覧会を開催。奉茶とは、客だけでなく、道行く旅人にも茶を振る舞う、おもてなしの文化。客家人にとってお茶は生活の一部であり、ずっと大切にしてきたものだ。