中国・最貧困省のビッグデータ革命
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発展から取り残され、2015年にはまだ493万に上る貧困人口がいた中国西南部の省に、ビッグデータの発展に熱心な力強い政府がある。過去5年、貴州省政府の取り組みはまるでビッグデータを活用するベンチャー企業のようだ。省長が組織するビッグデータ発展指導チームは企業の取締役会に、貴州省ビッグデータ局は企業の経営層に相当する。貴州省が運営する「クラウド貴州」は各種データ管理を請け負う“スーパーサーバー”であり、こうした貴州省政府のビッグデータに対する巨大なエネルギーは「米アップルが中国国内でiCloudサービスを運営する唯一のパートナー」という花形プロジェクトとして結実し、さらに万に及ぶさまざまなビッグデータ関連企業を呼び寄せている。(第一財経マガジン)

「アップルクラウド(中国)」のデータサービスが「クラウド貴州」に切り替わって1年近くになる。それまでの交渉の時間を考えるともっとたつだろう。ただ、これまでのところ、馬寧宇氏は米アップル側の人間を一人もこの貴州省ビッグデータ局の事務所に入れたことはない。

 2018年末まで、クラウド貴州を所管していたのは貴州省ビッグデータ局だった。馬寧宇氏はその局長であり、16年から貴州省政府の代表としてアップルクラウドとの交渉の全工程に関わってきた。

 貴州省ビッグデータ局の事務所は貴州省の省都、貴陽市北京路225号にあり、紹介するのは少しためらわれる。というのも、外観だけ見ると、1970~80年代に建てられた住宅だと思うかもしれないからだ。この建物は63年に建てられ、今ではB級の危険家屋に指定されている。そのため事務所の主任である焦徳禄氏は最近引っ越し作業に追われている

 iCloudデータが保存されているデータセンターは貴安新区に位置する。仕事環境は貴州省ビッグデータ局よりもさらに質素だ。職員らはもう何年も臨時に作られたプレハブで働いている。貴陽市内から車で1時間の所にあるため、市内に住んでいる一部の職員は、残業になると、敷地内に建てられた同じくプレハブの「アパート」に泊まることになる。

 これが貴州省の現実だ。15年、貴州省の貧困層の人口は493万人で、この数字は中国で最も多い。地形の特徴として山地や丘陵が多く、都市や町は山の間にある平たんな土地を縫うようにつくらなければならない。このような地理的環境から、この地域は工業の発展が難しい。

 貴州省にはもう一つ、別の面がある。今、中国国内で最も有名な「ビッグデータ」の都であることだ。大手インターネット企業やテクノロジー企業のデータセンターがほぼ同時期にこの地に移された。貴陽市では至る所で「ビッグデータ」「ブロックチェーン」「インターネットファイナンス」と書かれた看板を見掛ける。