米アップルの「分隊」
2018年2月28日、米アップルは中国国内でのストレージサービスのキャリアを中国電信から「クラウド貴州」に変更すると宣言した。それにより、iCloudのサービス料の受け取りはクラウド艾珀(貴州)技術有限公司(以下、クラウド艾珀)に変わった。この企業はクラウド貴州が全額出資する子会社であり、国有企業だ。
「私たちはアップルと貴安新区と内モンゴル自治区のウランチャブ市に二つのデータセンターを設立しました。iCloudのサービスを使って、クラウド貴州はサービスキャリアの主体としてiCloudサービス(中国国内)の運営と管理を請け負います」とクラウド貴州の総経理である張雷氏は話してくれた。張総経理もかつては「11人の創始団」の一員であり、それ以前は、貴州省経済情報委員会の情報化推進室長だった。
この宣言はクラウド貴州とアップルの2年近くにわたる交渉の結果だ。16年から17年12月にかけて、提携の枠組みをつくり、契約書へのサインを行った。「とても長い道程でした」と張総経理は語った。
「馬(寧宇・貴州省ビッグデータ局)局長とアップルは何十回も交渉しました。その会場は米国とは限らず、関係者が中国に来たと分かれば、どこであろうとすぐに出向きました。ある一時期は毎日テレビ会議や電話で話し合いました」と貴州省ビッグデータ局副局長の景亜萍氏は話した。
16年6月、中央政府が「情報とインターネットの安全法」についての意見を求める文書を発表したとき、ビッグデータ産業発展指導グループも「誘致名簿」を整理した。彼らはこの文書を一つの合図であると考えた。それはアップルを含め、中国国内のデータ業務を有する企業は、将来その土地でのビジネスパートナーが必要であることを意味していた。
「対アップル交渉団」がすぐにつくられた。リーダーは貴州省常務副局長の秦如培氏で、当時ビッグデータ室主任だった馬氏と現クラウド艾珀総経理の馮磊氏も交渉団の一員だった。