ニュージャージー州ジャージーシティーで10日に発生した銃撃事件は、ユダヤ教の聖典に沿った食料を扱うコーシャ店で3人の犠牲者が出る結末を迎えた。ここにきて市長が容疑者らの動機について、ハシド派のユダヤ人が頻繁に訪れる店を標的にしたと発言したこともあり、事件は今、ユダヤ人に対する攻撃であったように見え始めている。市の安全当局の責任者によると、警察との銃撃戦は「店内の市民に対する攻撃」とともに始まった。容疑者の1人は秘密めいた「ブラック・ヒーブルー・イズレイライツ」のメンバーであり、ソーシャルメディアには反ユダヤ的なメッセージの投稿もあったと報道されている。反ユダヤ主義が犯行の動機だったと確認されれば、今回の事件は昨年ピッツバーグで11人が犠牲になった事件に次ぐ惨事となる。分断された今の世では、反ユダヤ主義のレッテルは右派であれ左派であれ、政敵に対する武器として使われることが多い。とはいえ、反ユダヤ主義は政界の右から左にいたるまでどこにでもある陰謀説をエサとして大きくなるものであり、多くの場合、社会が広く衰弱しつつあることへの警告である。