上司に対するアプローチ
リーダーから見て「よく思われていない原因は上司自身にもあるよな」と感じるようなら、上司に対してもアプローチをする価値はあります。
ある住宅販売会社では、課長以下、現場の営業マンは、部長に対していい感情を抱いていませんでした。「現場を知らないくせに、横柄だ」。現場の営業マンがみな一様に口にしていた部長評です。
ひとりの課長が、この関係を改善しようと立ち上がりました。課長同士のディスカッションの輪に、部長を入れたのです。
「現場のことを知らないくせに」という不満がまん延しているのならば、現場のことを知ってもらえばいい。よく考えたら、単純なことでした。
加えて、現場の営業マンが使っている進捗共有シートに、「部長のフィードバックコメント」欄を設けました。全員が共有するシートのため、部長が各々にどのようなフィードバックをしているかも全員がわかります。業界経験の長い「部長ならではの視点」も、現場の営業マンには役に立ちます。
さらに課長たちは、その進捗共有シートを、部長のさらに上席である役員に定期的に提出するようにしました。部長が現場にどう関わっているかをガラス張りにしたのです。
このアプローチで、部長の部下に対する関わりも、部下の部長に対する関わりも、少しずつ変わっていきました。
関係がよくないからこそ「あえて思いを馳せる」「あえて巻き込む」。すると必ず改善していきます。