瀬戸際の銀行・フィンテック連携 #5
写真:毎日新聞社/アフロ

遅々として進まない契約交渉を見かねた公正取引委員会が、銀行とフィンテック企業に対して一斉調査を開始した。その矛先は、システムの利用にかかる手数料という、交渉遅延の元凶を生み出しているとされるNTTデータなどのITベンダーにも向けられた。特集「瀬戸際の銀行・フィンテック連携」(全5回)の最終回となる#5では、オープンAPIを巡る公取委とITベンダーの動きを伝える。(ダイヤモンド編集部 田上貴大)

銀行とフィンテックの交渉停滞
動きだした公正取引委員会

 昨年11月、1通の質問票が複数の銀行、フィンテック企業にそれぞれ届けられた。表題は「キャッシュレス決済及び家計簿サービス分野等に関する実態調査について」。差出人は、公正取引委員会の事務総局経済取引局長だった。

「APIを整備したか」「どれくらいのシステム費用が発生しているのか」「電子決済等代行業者と契約を結んだか」――。50枚近くに及ぶ質問票のうち、公取委は約20枚にわたって各社のオープンAPIへの対応状況を問いただした。

 この質問票を受けて金融界では「停滞するオープンAPI交渉の突破口になるのではないか」との期待が高まっている。というのは、質問票の送付先が、銀行やフィンテック企業だけではなく、銀行システムの保守管理を担う複数のITベンダーにまで広げられていたためだ。

 公取委は、企業同士の公正な競争を促すのが役割だ。遅々として進まないオープンAPIを巡る銀行とフィンテック企業との契約交渉に関して、公取委は新規参入を阻害する要因があるとの疑いを持ったとみられる。

 調査の焦点は、独占禁止法に抵触する違法な取引慣行があるかどうかだ。フィンテック企業が銀行から理由もなくAPIでの接続を断られていたり、フィンテック企業にもうけが出ないような不当に高い接続料金が設定されていたりしないか、ということを調べている。

 公取委は昨年10月に銀行などに対して本格的なヒアリング調査を開始。質問票への回答を踏まえて、今年3月末をめどに調査結果を公表する見込みだ。