瀬戸際の銀行・フィンテック連携 #3
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金融庁は幾度も「オープンAPIの交渉が遅れている」と銀行界に通告してきた。だが、銀行とフィンテック企業の交渉は、システム利用にかかる手数料負担などが障壁となり、遅々として進まない。特集「瀬戸際の銀行・フィンテック連携」(全5回)の#3では、相互不信に陥った両者の交渉の様子をお届けする。(ダイヤモンド編集部 田上貴大)

銀行・フィンテックの交渉遅延を
ひもとく「四つ」のキーワード

「もう少し大局観を持って取り組んでくれないものか」。梅雨明け間近の昨年7月。毎夏の人事異動を終え、続投が決まった遠藤俊英・金融庁長官は、ある懸念を抱いていた。

 この時期には、長官自らメガバンクや地方銀行、第二地銀のトップがそれぞれ集う会合を渡り歩き、“所信表明”を繰り返すのが恒例行事だ。それは同時に、金融庁が抱える目下の危機意識を銀行に通達する格好の場にほかならない。2期目の遠藤長官は、各会合のスピーチ原稿に共通の一文を盛り込んでいた。「オープンAPIに向けた契約の締結が進んでおらず、心配している」――。

 銀行とフィンテック企業が、安全にデータ連携ができる世界を目指す「オープンAPI」。改正銀行法成立によって今年5月末に設定された期限に向け、両者は契約の交渉にいそしんでいる。だが、遠藤長官の懸念の通り、長らく交渉は遅々として進んでこなかった。

 なぜ交渉遅延が起きているのか。それは、「ヒト」「セキュリティー」「カネ」「プライド」という四つの理由から、銀行とフィンテック企業の間で意識の差が生まれているからだ。