1月から「ギガホ」のデータ容量が倍の60GBに

 筆者は日本ではドコモの「ギガホ」を契約しています。毎月30GBもデータ容量があるのですが、iPhoneに加えてiPad向けのSIMカードを追加契約(データプラス、月1000円)し、30GBを2つのデバイスで使っていくようにしました。

ドコモは年末に「ギガホ」の通信量を月60GBに倍増。終了時期を明言していないキャンペーンになります

 以前はiPadでは格安SIMを使っていたのですが、毎日iPadを持ち歩いて仕事をするには月3GB程度では心許ないし、同じドコモ回線を使っていながら明らかに速度が違う瞬間を多々経験していたため、データプラスの追加に変更して正解でした。

 格安SIMの頃は月700円で、データプラスは月1000円になったのですが、後者には「docomo Wi-Fi」の利用も含まれています。docomo Wi-FiをiPad向けに契約していて、これが月300円だったので、結果的には同じ月1000円になります。だったら30GBを単純に2台に割けても15GBは使えて、速いドコモ回線にまとめた方がリーズナブルというわけです。

 ただ、これだけの容量があればWi-Fi無料の意味もなくなるかもしれません。

 2020年1月に通信量を確認すると60GBになっていました。30GBの倍……。実は年の瀬、仕事納めの12月27日に発表されたキャンペーンで、ギガホユーザーは手続きなしでデータ量が倍増したのでした。

 特定のコンテンツの通信について、データ量のカウントをしない「ゼロレーティング」に規制をかけるという方針が総務省で示されたわけで、だったらゼロレーティングもやめて、単に容量を増やせばいいじゃないかという策を打ち出したように見えます。

 確かに年末年始、お休みのうちにいろいろなコンテンツをスマホで楽しもうという人もいれば、帰省のために自宅のWi-Fiが利用できないという人もいるでしょう。どちらの人にとっても安心して思い切りモバイル通信でコンテンツが楽しめる、うれしいキャンペーンと言えるのではないでしょうか。

今のサービスやコンテンツでは
月60GBは実はなかなか使い切れない

 この1月に始まったギガホ60GB化の増量キャンペーン、終了時期は未定だと言います。キャンペーンと言いつつ、5Gサービスを見据えて恒常化してしまうのではないかとも思いました。

 米国のキャリアのいわゆる「Unlimited」と言われるプランは、実際には速度制限が始まるデータ量が料金ごとに決まっているというもので、そのキャップが15GB/30GB/50GBなどになっています。30GBはドコモのギガホと同じですが、50GBはソフトバンクの「ウルトラギガモンスター+」と同じです。ただし、ソフトバンクのサービスでは主な動画サービスやSNSでの利用は通信量がカウントされません。auも「auデータMAXプランPro」で、テザリングやローミングを除いて容量無制限を実現しています。

 そう考えると、ドコモの60GBというのは、ソフトバンクより数字は多いですが、勝っているかと言われると微妙なところです。しかし、60GBですよ。1日2GB以上使わなければ、使い切れない計算です。

 たとえば、Apple Musicで1日にアルバムを2枚聴いたとして、アルバムの曲数にもよりますがせいぜい500MB程度です。YouTubeやNetflixなどのビデオを1時間見ても、やはり500MBほど。1GB使うには1日3時間のスマホ時間が必要なわけです。

 通勤通学に片道1時間以上かけている人なら、電車内の利用で1日2GBはいけるかもしれません。しかし、スマホの画面を6時間見ていて疲れないかどうかはデータ量とは別の問題になってきますよね。

 またビデオ通話も意外と容量が少なく、LINEであれば3時間は話さなければ1GBを消費できません。FaceTimeビデオに至っては、約6時間、FaceTimeオーディオの場合34時間かかります。あれ、1日って何時間だっけ……。

 こうした試算が不毛な理由は、音楽にしてもビデオにしても通話にしても、データ通信が潤沢に利用できるようになる前提では設計されていないことに起因します。

 米国だってプリペイドはまだまだ人気ですし、日本でも格安SIMでスマホを使っている人はたくさんいます。新興国なら、なおさらデータ量が潤沢に使えない環境が当たり前です。

 そのため、スマートフォンで利用するアプリやデータは、極力小さなサイズになるよう圧縮し、データ量を消費しない、また通信速度が遅くても快適に利用できるよう配慮されています。その前提で考えていたのでは、「今日から60GB、どーんと使って下さい」と言われても、サービスもライフスタイルもついていけないのは無理もないでしょう。

映像や音楽を通信で配信するのは4G時代の話
5G時代にはやはり5Gのサービスがふさわしい

 冒頭で、5Gのサービス開始時にもデータプランを変更しなくて良くなるよう、恒常的に毎月60GB使えるようにしてしまうのではないかという予測を書きました。

 実際のところキャンペーン終了は未定で、終了の1ヵ月前に告知するとドコモのサイト上には書かれているので、終わりがないというわけではない雰囲気はにじませています。ただ、4Gまでのサービスで、5G時代に標準的となるデータ量を使い切ろうとするのは、やはり無理がありそうだということがわかってきたのではないでしょうか。

 5G時代には5G時代なりのサービスやアプリが登場して、それだけの通信量にフィットするなんらかが登場する、というありきたりな話になってしまいますが、今まではせいぜい動画や音楽といったコンテンツを通信でばらまいてきた程度だったから、データ爆発が押さえられてきたわけで、今後は空間だとか、より膨大なデータを丸ごとやりとりしてしまうようなコミュニケーションやコンテンツが5G時代にはふさわしいのかもしれません。

 とりあえず筆者は1月に出張だらけなので、モバイル通信を使って飛行機の中で見たいコンテンツをダウンロードして貯めておこうと思います。

 と書いたところで、5G時代、デバイスのストレージもよりたくさん必要になることに気づかされます。となると、1TBのストレージを備えるタブレット、iPad Proもさほど飛躍した話ではなくなっていくのかもしれません。


筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

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