それを実現しようと、「YRMコントローラ(仮称)」ってコントローラをもうすぐ発売しようとしてるんやけど。サーボを外販していないと、こういう発想には意外とならないんですよ。

──YRMコントローラにしてもそうなんですが、2017年から安川は、ソフトウエアやハードウエアを融合したソリューションの提供によって、統合的・知能的・革新的に顧客の機械や設備をコントロールして効率性を高める「i3-Mechatronics(アイキューブ メカトロニクス)」を掲げています。ただ、安川はそれまで、サーボとインバータとロボットを、それぞれ個別に強化することで成長してきた。なぜここに来て融合によって全体最適を図るような方向に方針を転換したんですか。

 むしろ、何でこれまでサーボとインバータとロボットを単品で成長させてこられたのかというと、それぞれの顧客が違っていたからなんですよね。サーボは今話した通り、工作機械やロボットに組み込まれて使われる。一方、インバータは(生産工程を連続的、自動的に動かす)プロセスオートメーションなどの場で使われる。じゃあロボットはというと、これは溶接や塗装といった自動車や自動車部品を作るためのアプリケーションとして成長してきたもので、また客層が違った。

 ところが、ロボットが省力化のために自動車業界以外の現場でも広く使われるようになってきて、ロボットと工作機械の連携が求められるようになってきた。しかも、ここ数年でロボットや工作機械の製造に中国などの新興勢が乗り出してくるようになったから、差別化のためにこうした連携の必要性はますます高まってきている。

 サーボとインバータについても同じような動きがあります。10年以降、「インダストリー4.0」って言葉が出てきたのをきっかけに、プロセスを担っていた企業がビジネス領域を拡大して、サーボとインバータを組み合わせて工場の効率化を担おうとする動きが増えてきたんです。そうなると、お客さんにも機械単品の性能のみならず、機械同士、あるいは工場全体を最適につないで効率的にコントロールするにはどうしたらいいかという考え方が浸透していったのです。