ただ、今回のワークマンの楽天市場からの撤退と、送料無料化を関連づけることはやや実態とは異なるようだ。

「ワークマンはもともと2020年3月にECサイトをリニューアルする計画を、18年11月から進めていた。当初からECサイトのリニューアルに合わせて楽天市場から撤退する予定で、楽天との契約更新のタイミングが2月と8月だったので、撤退の決定を発表した」(同社広報)。

 破竹の勢いのワークマンではあるが、オンライン販売は苦手で、売上高の構成比(EC化率)はたった1%しかない。楽天市場店での売り上げはその1%のうちの2割なのだから、切り離したところでワークマンはもちろん、楽天にも大して影響はない。

 そもそも、ワークマンが楽天以外のアパレル通販サイト「ZOZOTOWN」やアマゾンなどに出店していない理由は、原価率の高いワークマンにとって、出店料が折り合わなかったという経緯がある。

店舗を「倉庫」に
お手本はZARAと中国ユニクロ

 今、ワークマンをはじめとするアパレル企業が自社ECの強化に走るのは、収益率の向上が目的だ。百貨店やショッピングセンターなどの他社の店舗や、ZOZOTOWNなどの他社のECに出店すると、販売手数料などとして、売上高の3~4割近くを支払わなければならない。自社の店舗の人件費も高騰している。このため、自社EC強化はアパレル業界全体のトレンドになっている。