そんな中で、鹿島と竹中は、2018年4月から自動搬送台車を共同で研究する機会があり、互いに組みやすさを感じていたという。19年12月には互いに人材を出し合ってチームを発足させ、今月には基本合意を結んだ。

 まずは、24年3月までの5年間について共同研究を契約している。24年3月は、働き方改革の一環で残業規制が建設業に適用されるタイミングになるため、開発は急務でもある。中断の申し出がなければ、39年3月まで契約を延長する。両社とも「同業他社が加わるのはウェルカム」と両手を広げてみせた。

 将来、この連携に加わるのであろう面々は、大林組、清水建設、大成建設ら大手3社と、準大手、中堅ゼネコンのほか、スタートアップ企業やロボット開発に欠かせないセンサー部品メーカーなど他業界にも及ぶ。鹿島の伊藤仁常務執行役員は、「シリコンバレーで技術を探したり、国内でもすでに研究で提携している会社はある。それでもまだ掴めていない企業もあるだろう。可能な限り探していきたい」と意欲を語る。

 研究は個別テーマ毎に分科会を設け、技術者のチームを複数作る。つまり、技術開発の人材を割ける組織的な余裕がある企業でないと実際に参加するのは難しそうだ。ベンチャーなど、少人数であっても特定の技術に特化している会社を除き、研究開発に余力がない小規模な建設業者の中には、望んでも参加できないところもあるだろう。

 広く浸透するロボットにするには、大量生産によるコストダウンが欠かせない。結局、研究開発ができない会社はロボットを買ったり、借りたりする顧客になるしかない。大手を頂点とするピラミッド型の業界格差はどこまでもついて回る。

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