鹿島と竹中が手を組むのは、資材の運搬や鉄骨の溶接作業、工事現場の清掃、クレーンの遠隔操作など、どの工事現場でも見かけるような作業を助けるロボットの開発だ。人がやるには危険が伴ったり、作業環境が厳しい動作のほか、反復作業が多いため効率化が期待できる作業、人手不足の解消に繋がる作業が対象になる。受注に際して、決め手となるような“虎の子の技術”ではない。

 それでも実用化のハードルは高い。例えば資材運搬ロボットの場合、指定した場所にロボットが向かい、指示通りに動くようになる開発の“フェーズ1”は達成した。しかし、まだ指示を入力するよりも手で運んだほうが早く、垂直搬送などが次の課題になる。現場の様子が日々変わる中で、最適な動きができるようになるのはこれからだ。

開発が重複する無駄は自覚していた
それでも協業できない大手の事情

 従来、こうした開発でさえ、各社ごとに研究してきた。ただ、竹中工務店の村上陸太執行役員は、「業界のイベントなどで技術者たちが会すると、皆同じような実験をして、同じようなところでつまずいていると分かっていた。重複が無駄なことだと気づいていても、なかなか協業には結びつかないでいた」と振り返る。技術にシリーズ名をつけて、積極的に外販していこうとするところも多く、業界のスタンダードとなるロボットは生まれにくかった。

 ロボットの使い手はゼネコンの協力会社に勤める専門工事の職人たちだ。ゼネコンごとに協力会社のネットワークを持つものの、その結びつきには緩急がある。関係が密接なところでも、他のゼネコンの工事に参加することはよくある。そうなると、どのゼネコンの現場でも使えるロボットでなければ、使いたいとは思えない。各社共通の技術にしたほうがデジタル化や効率化の輪が広がりやすいのだ。