売主のプロスペクトは「取材は全て断っている」と口を閉ざす一方、大京の親会社であるオリックスは「管理会社として土砂災害警戒区域に指定されたことは把握していたが、崩落した斜面に対する専門的な点検業務は管理組合との契約に入っていない。毎月、目視では点検をしていたが、異常は見られなかった」とする。

「台風や地震で崩落したわけではないので
マンションの所有者全員か管理組合に責任がある」

 現地調査を行った国土交通省は2月14日、報告書(速報)を公表。「日当たりの悪い斜面のため(地盤を固める)植生が弱く、風化により崩落した」などと結論付けた。国交省の示した事故原因は、同じような斜面を持つマンションならば他でも起こり得ることを示している。

 実際、土砂災害警戒区域に所在する物件は少なくなく、大手デベロッパーや管理会社はこの前代未聞の事故に度肝を抜かれて、自社物件の総点検をこっそり行っている。

 だが、最終的に事故の責任はマンションの所有者にある。「台風や地震によって斜面が崩落したわけではないので、マンションの所有者全員か管理組合が占有者として責任を負うことになるだろう」と話すのは、不動産に詳しい「麹町パートナーズ法律事務所」の神戸靖一郎弁護士だ。

 そのうえで、「賠償額は被害者の年齢から7000万~8000万円。遅延損害金や弁護士費用も含めれば、総額1億円を超える可能性もある。もし賠償責任保険が出なければ、所有者全員で自己負担することになるだろう」(神戸弁護士)という。

 マンション所有者の負担はそれだけにとどまらない。不動産関係者は「人命を失うような事故が起きたことで、物件の資産価値の大幅な低下は避けられない」と、口をそろえる。

「重ねるハザードマップ」を使えば
ピンポイントで災害リスクを調べることができる

 逗子のケース以外にも、近年、災害リスクによって一夜にして資産価値を棄損してしまうマンションが増えている。

 昨秋に首都圏を直撃した台風19号で大きな被害に遭った武蔵小杉のタワーマンションの住民は、今後、新たなコスト負担がのしかかってくることを予見している。「負担増は皆、覚悟しているが。これだけ人がいると合意形成が大変だ」(被災したタワマンの住民)。