蔡英文台湾の蔡英文総統 Photo:Pacific Press/gettyimages

新型コロナウイルスによる肺炎(COVID19)の感染者数が世界的に増える中、厳格な防疫措置を打ち出す台湾に注目が集まっている。台湾の識者は、台湾政府の防疫措置の“速さ”を評価する。2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)流行時の経験が現在に生かされているとの見方で、社会の強い警戒感も後押ししているとみる。(NNA 山田愛実、卓 吟錚)

WHO発表を待たずに措置断行

 台湾大学公共衛生学院のセン長権院長(セン=膽のつくり)と、台湾師範大学政治学研究所の范世平教授がNNAの取材に答えた。

 台湾はこれまで米国と日本の防疫策を参考にしてきたが、今回は日本の対応が過度に遅いとみて、米国を参考にした。多くの国・地域が世界保健機関(WHO)の情報発表を待って行動に移しているのに対し、台湾はWHOをはじめとする国際組織の発表を待たず、比較的早い段階で措置を講じてきた――。

 セン院長は台湾政府の防疫措置の動きをこう説明する。