新型肺炎クライシス
中国浙江省杭州市では、新型肺炎の感染拡大防止の狙いで、住民に厳しい外出制限が導入された。外資ブランドが入居するショッピングセンターの周辺も、ほとんど人影がない Photo:Bloomberg/Getty Images

新型コロナウイルスによる肺炎(新型肺炎)の感染拡大を受け、外務省は12日、中国への渡航延期や現地在留邦人の一時帰国を求めるスポット情報を出した。ここで感染リスクと合わせ、外務省が注意を促しているのが「人の移動に対する厳しい規制」だ。感染拡大抑止を狙って全国各地で繰り広げられる移動制限。その激しさは、生活を営む上でもはやウイルス以上の脅威となっている。(ダイヤモンド編集部特任アナリスト 高口康太)

「封城」――これは新型肺炎をめぐる中国でのキーワードの1つだ。日本語で言うと「都市封鎖」。1月23日、感染源と疑われる湖北省武漢市で都市封鎖が発表され、市民は原則として市外に出ることを禁止された。後にこの規制は湖北省全域へと拡大される。

 武漢市の人口は約1100万人、湖北省全体で約5800万人に上る。これだけの人口の“封鎖”は歴史上前例がない。パニック、物資の不足、経済への打撃……さまざまな副作用を引き起こしかねない。そうしたデメリットがあるにもかかわらず、中国政府が湖北省全域を封鎖したことは、世界に大きな驚きをもたらした。

 だが、事態はそれだけではとどまらなかった。新型肺炎についてつぶさに現地情報を追っている人なら、「封城」が湖北省以外にも広がっているとのニュースを目にしたのではないか。12日現在、新型肺炎の中国全土の死者数は1114人。うち1068人が湖北省に集中している。言い換えれば、湖北省以外での死者数は46人しかいない。それでも湖北省同様の対策を採る必要があるのか? 実はここには、誤解がある。ニュースなどで「封城」と言われている移動規制には、大きく分けて2つのパターンがある。