都心の人気エリアでは需給バランスの枠を超えて高騰するマンション価格。だが、このご時世でも、一般所得層の手が届くエリアはある。特集『いまこそ買いたい 中古マンション』(全11回)の第2回は、高所得層、中間層、標準層の三つの世帯年収別の購買力に応じた首都圏の「狙い目」エリアを紹介する。(不動産ジャーナリスト、榊マンション市場研究所主宰 榊 淳司)
三つの世帯収入レベルの
お買い得エリアを紹介
2013年の異次元金融緩和以来、首都圏のマンション市場は、とりわけ投機的な「買い」が発生している都心エリアを中心に、需要層の購買力を超えた水準まで価格が上がってしまった。
しかし、首都圏全体を俯瞰すれば、バブル的な投機買いが及ばないエリアが存在し、需要側の購買力の範囲内に価格水準がとどまっているエリアもある。世帯年収レベルを三つの層に分けて、そんなお買い得エリアを紹介しよう。
まずは近年、マンション市場でクローズアップされる実需層「パワーカップル」向けから見てみよう。すなわち、世帯年収1000万~1400万円程度のファミリーだ。
夫婦のいずれかだけでこの年収がある世帯はかなり限られる。しかし、カップルの一人が800万円、もう一人が600万円ということになれば、それなりのボリュームになる。そんなパワーカップルが購入できるマンション価格は、現在の低金利にあって、年収の約6.4倍、9000万円前後だ。
ここ数年、パワーカップルの人気物件は、東京の湾岸エリアや川崎市の武蔵小杉エリアのタワーマンションだったといわれている。だが、その選択が「正解」だったかどうかは疑問だ。