いまこそ買いたい中古マンション#08

昨年末、約1000万円をかけて災害時用の自家発電に使う重油備蓄を増強した「プラウドタワー東雲キャナルコート」。その決断を後押ししたのは、管理組合の財務的な余裕と、それを生み出した管理コストの見直しにあった。特集『いまこそ買いたい 中古マンション』(全11回)の第8回は、実例から学ぶマンション管理の成功法則を紹介する。

「週刊ダイヤモンド」2020年2月29日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの

約1000万円の追加備蓄

「うちのマンションは武蔵小杉のようなことにはならないのか」

 昨年10月の台風による浸水被害以降、都心のタワーマンションの住民は不安を募らせている。

 電気の供給が止まり、給水ポンプや排水ポンプが使えなくなれば、「水が出ない」「トイレが使えない」といった事態に直面するからだ。見晴らしの良い快適な暮らしが一転して、不便極まりない生活環境に変わりかねないのだ。

プラウドタワー東雲キャナルコート
「プラウドタワー東雲キャナルコート」は、湾岸エリアで震災後初の新築分譲マンションとして誕生した

 マンション管理会社はそうした事態に備えて、管理組合に対し自家発電設備の燃料である重油の備蓄増量を提案するが、実施するところは皆無に等しい。新たなコストが発生するからだ。そんな中、2019年12月の段階で、それまでの3倍の追加備蓄を決めたタワマンがある。

 東京湾岸エリアにある「プラウドタワー東雲キャナルコート」である。12月1日の臨時総会で、重油の備蓄量を1950リットルから5850リットルに増やすことに決めた。

「今の備蓄量では12時間しか電気を供給できないが、エレベーターの稼働などを調整すれば、増量で3日分の電気を確保することができる」(副島規正・プラウドタワー東雲管理組合理事長)

 ただし、重油の専用倉庫などが新たに必要となるため、追加備蓄にかかる費用は980万円に及ぶ。それでも、総会の議決権のある498世帯のうち、追加備蓄に反対したのは19世帯だけだった。