新型コロナ世界不況は杞憂か、ノーベル賞学者が見る中国デジタル経済の底力新型コロナ禍に対する中国の経済的レジリエンス(回復力)はひときわ高いとスペンス教授は分析 Photo: AP/AFLO

 中国の武漢で昨年12月に出現した新型コロナウイルス(COVID-19)は、すでに数千人の命を奪い、数億人の日常生活を変化させ、世界全体を窮地に追い込んでいる。

 疫学の専門家たちも、まだこのウイルスの感染メカニズムを完全には解明していないため、アウトブレイク(集団感染)がいつ終息するのか、誰にも確実なことは言えない。経済にどのような影響が出るのかは、なおさら分からない。

 だからといって、経験に基づく推論が不可能というわけではない。同じように大きなショックに関する歴史的な経験からすれば、短期的な経済へのダメージはかなりの大きさになるかもしれない。

 投資家がポートフォリオのリスク軽減を図れば、(ウイルス禍の)影響を受ける可能性が最も大きいとみられる旅行・観光産業、高級品産業、自動車産業といったセクターを中心に、市場のボラティリティは増大するはずだ。

 多くの信頼できる推計(公共機関によるものもあれば、民間によるものもある)では、中国の年次国内総生産(GDP)成長率は、ウイルス禍がピークに達するまで、四半期あたり2~4%ポイント下がる可能性がある。特に、何よりもまず自発的・強制的ともに移動の制限が生じるため、消費と生産が打撃を受ける。すでに例年であれば春節休暇がもたらす一時的な消費増大は霧消してしまった。

 問題は、感染のピークがいつになるか、である。