もっとも、同法違反容疑で地検に告発した機関だから、告発した容疑内容に基づき勧告するのは当然の流れだったとは言える。

 ゴーン被告と法人としての日産、共犯とされた前代表取締役グレッグ・ケリー被告(63)の起訴内容は、ゴーン被告の2011年3月期~18年3月期の役員報酬が計約170億円だったのに、約78億円と記載した有報を提出したとされる。

 日産の命令対象はこのうち、15年3月期~18年3月期の4年分。検査前は起訴内容を違反事実として課徴金は約40億円に上る見込みだったが、日産側が違反事実を報告して減額申請し、SECが認めていた。

 日産は命令を受け「決定を真摯(しんし)に受け止める。告知書に従い国庫に納付する」とするコメントを発表していた。

 つまり「市場の番人」であるSECの勧告を受け、金融庁も追認して日産に課徴金を命令。日産も受け入れたことで、行政処分としてはゴーン被告の不法行為が認定されたわけだ。

脇役の公判で刑事責任明らかに

 では、ゴーン被告の刑事責任はどうなるのか。

 昨年末まで1カ月に1回の割合で公判前整理手続きが開かれていたが、ゴーン被告の逃亡で一時停止された。

 一方、日産とケリー被告は分離公判になることが決まった。初公判は4月21日に開かれる予定だったが、3月6日の公判前整理手続きで、尋問する証人や時間配分の調整に時間がかかるため、5月以降に延期されることになった。

 東京地裁は初公判が開かれる予定だった4月21日を公判前整理手続きの期日に指定し、争点をさらに詳細に絞り込む方針だ。

 冒頭、「主役不在」と書いたが、刑事訴訟法第83条第3項の規定で、被告と弁護人の法廷への出席を開廷の原則としている。

 これは日本国憲法32条「裁判を受ける権利」で規定されているためだ。当事者や弁護人が出席しないで意見を述べる機会が奪われる「欠席裁判」はNGということだ。

 だから、ゴーン被告不在でゴーン被告の公判を開くことはできないのだが、分離公判という形で日産とケリー被告の公判を開くことは可能だ。