厚生労働省は働き方改革の旗振り役である。にもかかわらず、当の厚労官僚の残業は月200時間超。新型コロナウイルスの感染拡大という非常時に、働き方もくそもない。特集『本当は怖い働き方改革』(全9回)の#4では、別名「強制労働省」の残酷物語をお届けする。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)
厚労省の新型コロナ対策“前線基地”
「同僚は1週間で壊れて帰ってきた」
東京・霞が関の中央合同庁舎第5号館2階には、厚生労働省の講堂がある。この講堂には、新型コロナウイルスの対策本部が設置されている。
厚労省の官僚だけでなく、他省庁からも応援派遣を受け、情報収集を進めたり対応策を練ったりしている。新型コロナへの陣頭指揮を執る“前線基地”だ。
前線基地に詰める官僚は連日の徹夜は当たり前。目の下にくまができ、スーツはヨレヨレ。椅子に座ったまま仮眠する官僚の姿は、最終ラウンドまで戦い切って真っ白な灰のごとく燃え尽きた、漫画『あしたのジョー』の主人公、矢吹丈のようだ。
「2週間のレンタル派遣なのに、同僚は1週間で壊れて帰ってきた」と環境省のある官僚は明かす。あまりに業務が過酷で、体調を崩してリタイアする官僚が続出しているのだという。
厚労官僚にとって、コロナ危機はタイミングも最悪だった。1~3月は毎年、通常国会に対応するため最も忙しい時期。もろに重なったのである。