新型コロナウイルスの感染が世界に広がる中、注目を集めているのが“検査”だ。検査を増やせば感染の封じ込めにつながるという意見も多いが、そこには落とし穴がある。特集『健康診断のホント』(全18回)の#1では、日本が「PCR検査抑制」という戦略を採ったロジックを図解で分かりやすくお伝えする。(ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)
マイクロソフト創業者ビル・ゲイツ氏が
楽天の三木谷浩史氏が「検査」に関心
希望する全ての人に新型コロナウイルスの検査を――。このような使命に燃える経営者が増えている。
米マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツ氏は、自身の福祉財団で、米シアトル周辺地域の住民に向けて、家庭用の新型コロナ検査キットを配布する計画を発表した。自宅で鼻の内側を綿棒で拭って採取した検体をアマゾン配送網で検査センターに送ると、新型コロナへの感染の有無を調べられるという。日本でも「検査キット100万個を無料で配る」と孫正義・ソフトバンクグループ会長兼社長が発言(後に撤回)すれば、楽天の三木谷浩史会長兼社長も「日本は新型コロナ検査が遅れており、このままでは信頼感がなくなる。非対面やドライブスルーで検査し、まず初診はスマートフォンを使った遠隔医療を」と主張している。
「検査を増やせば感染の実態が分かり、迅速な隔離と治療につなげられる。もっと検査を」という声は、日本でも世界でも、政治家、企業人、一般人の別を問わず多い。しかし、今回の新型コロナの流行や、感染者がどこにいるか分からない状態を生み出したその元凶の一端は、皮肉なことに「検査」にもあると考えられるのだ。