どこで人間ドックを受診するべきか?勤め先や健康保険組合が契約する医療機関の中から選ぶ、市町村のがん検診実施機関リストの中から選ぶなど、パターンはさまざまだ。そこで首都圏、近畿圏でエビデンスの確かな検査を受けることができる人間ドック・医療機関を探す候補リストを作成した。特集『健康診断のホント』(全18回)の#16はその東京編をお送りする。
エビデンスの確かな検査を
実施する医療機関リスト247
日本人のほぼ2人に1人は、生涯でがんにかかる。「けんしん」の要はがん検診だ。そのがん検診をどうやって受診しているか。東京都の2018年度実態調査によると「職場の健康診断の一環として受けた」が胃がん、肺がん、大腸がん検診を合わせて5割強、「市町村のがん検診で受けた」が3割強、「全額自費で受けた」が1割ほどだった。
どこで受診するかも、勤め先や健康保険組合が契約する医療機関の中から選ぶ、市町村のがん検診実施機関リストの中から選ぶといったパターンのほか、自力で探した医療機関で受ける人もいる。勤め先の制度次第で、意外とバラバラなのである。
そこで、ダイヤモンド編集部では健康管理・健康増進支援サービス大手ウェルネス・コミュニケーションズの一部協力を得て、エビデンスの確かな検査を受けることができる人間ドック・医療機関を探すための候補リストを作成した。首都圏、近畿圏の主な人間ドック・医療機関がその対象である。
がんは初期段階ではほとんど症状が出てこない。厄介なところだ。受診者としては、がんの可能性のある出血、しこり、腫れ、ちょっとした痛みなどの症状を見逃すことなく、何らかの異常があれば精密検査でチェックするプロセスを、きちんと踏んでいくしかない。
国が定期的ながん検診を推奨しているのは胃がん、肺がん、大腸がん、乳がん、子宮頸がんの五つだ。これらについて効果があると科学的根拠に裏付けられ、しかも受診者のニーズが高い検査内容をピックアップ。その検査に対応しているかどうかをチェックしている。オプションを含め、対応可能なものには○印が付く。
検査のキーポイント
検査内容を駆け足で見ていこう。
16年に厚生労働省の指針が改正され、市町村の住民がん検診でも推奨検査に加えられた胃内視鏡(胃カメラ)検査の内容は、最も気になるキーポイントだ。
鼻から挿入する経鼻型の方が経口型よりも嘔吐反射が少なく、管が細いため挿入もあまり苦にならないとされる。経鼻型では鼻腔に局所麻酔を施すことが多い。
その一方で、より細かく観察できる経口型を望む受診者もいる。オエッという嘔吐反射や苦痛を避けるために、静脈鎮静でうとうととしながらラクに検査を受けたいというニーズがある。
ただし、鎮静剤使用には検査後の休憩用ベッドの用意が必要となるなど、医療機関にとっては設備、人員面のハードルが高い。
肺がん検診のチェックポイントは、胸部X線(レントゲン)写真と比べ、肺がん発見率が10倍程度とされる胸部CT(コンピューター断層撮影装置)を備えているかどうかだ。通常の数分の1以下と放射線被ばく線量の少ない低線量のCTはさらにニーズが高い。
大腸がん検診では、便潜血検査で異常があった場合、内視鏡検査による精密検査が必要となる。そこがチェックポイントだ。
肛門から最も奥の盲腸まで全体を内視鏡で見る大腸(全大腸)内視鏡検査は、事前の薬の服用、洗浄消毒などの手間と時間を要する。
肛門から近い部位に限定したS状結腸鏡検査の方が手軽ではあるが、現在は大腸内視鏡検査が主流だ。ただし、対応できる医療機関はまだ限られている。
乳がん検診ではマンモグラフィーに加えて乳房エコー検査、子宮頸がんではヒトパピローマウイルス(HPV)検査もメニューとしてある方が心強い。
次ページ掲載のリストを参考に、ウェブサイトのチェックや問い合わせの手間を惜しむことなく、しっかりとした検査を受けよう。