健康診断のホントPhoto:PIXTA

特集『健康診断のホント』(全18回)の#10では、メタボ健診を取り上げる。血圧にBMIにコレステロールを計測する、不摂生な日常生活を送る人にとっては確認するのもどことなく嫌な存在だ。だが、そもそもこの数値の正しい解釈の仕方をご存じだろうか?メタボ健診全般における数値の読み方と、世界的にも奇妙な評価指標が残る日本のBMI測定についての実態を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 鈴木洋子、ライター 奥田由意)

「週刊ダイヤモンド」2020年4月4日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの

メタボ健診の正しい“トリセツ”とは?
基準値との賢い付き合い方

 40歳以上の会社員なら年に1度必ず受けることになっている特定健康診査・特定保健指導(いわゆるメタボ健診)。毎回基準値を基に、ABCなどの判定が出る。

 成績表を見るように、一喜一憂するサラリーマンは多いだろう。しかし、この基準値とは一体何なのだろうか。ちょっとでも外れていると病気なのだろうか。問題なのだろうか。

 そんな疑問を持つ読者に驚きの事実をお伝えしたい。受診者の93%が何らかの項目で異常(基準値外)と判定されているのである。

 メタボ健診を含めた人間ドックの全国集計(2014年)によると、313万人の受診者中、全項目異常なしの人は、全国平均でたったの6.6%しかいなかった。

 つまり、93%の人が何らかの異常があると診断されていたのだ。毎日ストレスにさらされ病める現代人が多い今日とはいえ、いくら何でも高過ぎるように見える。しかし、この“異常な異常あり率”が生まれるのには、健康診断の統計上のある理由がある。