しかし、カップサラダ市場では同業他社との価格競争が激しく、さらに度重なる台風による野菜の高騰などから原材料価格が高騰。価格転嫁できず収益を圧迫していた。さらに工場の設備投資を金融債務で賄っていたことで有利子負債が膨張し、余裕のない資金繰りを余儀なくされていた。
このため、金融機関にリスケ(返済の猶予)を要請するとともに、東海、関東方面のスーパーへの営業開拓に努め、物流費用などのコスト削減を図っていたものの、取引先の倒産による焦げ付き発生などもあり収益改善には至らず、ここへ来て自主再建を断念した。負債は2社合計で約28億円に上っており、規模の大きい倒産も発生していることが分かる。
「暖冬」の影響でスキー場が相次ぎ破綻
そのほか、「暖冬」による経営リスクにも触れておきたい。3月2日に気象庁が発表した、昨年12月から今年2月のまとめによると、東日本と西日本は平均気温の平年差がそれぞれ+2.2℃、+2.0℃と高く、冬の最高記録を更新したことに加え、降雪量も全国的にかなり少なかった。
今冬も記録的な暖冬となったことは言うまでもないが、暖冬に伴う雪不足に関して死活問題となっているスキー場運営会社では、倒産が表面化している。今年2月には「雁が原スキー場」(福井県勝山市)を運営していた勝山観光施設(株)が破産している。年間5万〜6万人の入場者数と、初級者向けのファミリースキー場として親しまれ、99年4月期には年収入高約2億1100万円を計上していた。しかし、その後はスキー人口の減少に伴い、来場客が漸減したことで業績は低迷。苦しい運営を余儀なくされていた。
この間、リフト代割引によるサービス向上や人員削減などのリストラに努めていたものの、今期の記録的な暖冬に伴う雪不足により1月に入ってもオープンができなかったことで事業継続を断念した。
さらに同月には「アサヒテングストンスノーパーク」(島根県浜田市)を運営していた(株)ユートピア・マウンテンリゾートも事業を停止している。ここ数年、天候不順で積雪量が減少したため、人工降雪機による運営を余儀なくされ採算が悪化。設備の維持費等が重荷となって厳しい資金繰りが続くなか、今シーズンは暖冬の影響による雪不足で1日もオープンすることができず、事業の継続が困難な状況に陥った。破綻した両社とも、暖冬の影響による雪不足で今シーズンの営業が困難な状況に陥ったことを理由としている。