焼き肉店と創作和食店を運営していた(有)HOT STAFF(広島県福山市)は、西日本豪雨で創作和食の店舗が浸水被害を受けて一時休業を余儀なくされた。そして、営業再開後も来店客数は減少を続け、年末の繁忙期も客足が戻らず、事業の継続を断念した。
このほか、福岡県内の個人経営運送業者は、同業者との競争激化に加え、燃料費の高止まりから収益が低調に推移。こうしたなかで、九州北部豪雨により被災し、車両などが損壊。事業再開のメドが立たなくなった。
このように企業規模が小さいほど天災の影響を受けやすく、事業の立て直しは難しくなる。事業再開まで至ったものの結果的に耐え切れず、後に倒産に至るケースも見られた。ちなみに、2020年の同倒産は2月までの累計で8件発生。例年より早いペースで推移しており、今後天災の発生とともに動向が注目される。
野菜農家と関連業者への影響が顕著に
やはり「農・林・漁業事業者」は他業種に比べ、天候の影響をより受けやすい。2019年の天候不順倒産の発生件数が東京都と同率でトップとなった静岡県(5件)では、倒産企業すべてがレタスやネギなど「野菜」に関係する業者だった。猛威を振るう台風などの影響でビニールハウスの損傷を引き起こし、地域本来の生産環境が整備できず、大きなダメージを受け、事業継続が困難となるケースが多く見られた。
次に影響が見られたのは、野菜なども含む飲食料品を扱う「小売業」「卸売業」業者だ。供給が追い付かずに高騰した野菜は消費者の買い控えにつながり、業況悪化を起こす連鎖的な反応となった。
大手スーパーマーケット向けを主力に、包装パッキングやカップサラダなどを扱う野菜加工業者の(株)JFC(大阪府岸和田市)と、関係会社の(株)GFF(同所)は、今年に入り民事再生法を申請した。和歌山、京都、群馬、北海道、鹿児島の農家と契約し、委託生産をすることで野菜を確保し、岸和田にある2つの自社工場で加工。創業以来順調に業績を伸ばし、2017年7月期には年売上高約45億円を計上していた。