強い自己資本を持っているか

 長期的に損なわれない競争力の他にもう一つ重要な条件があります。それは、中短期的に倒産しないだけの強い自己資本を持っていることです。具体的には借入金などの負債が小さいことです。これをファイナンス用語では「財務レバレッジが低い」と表現します。

 強靭な競争力を背景に、数年後にその収益性が回復するとしても、その数年の間に倒産してしまっては元も子もありません。もし銀行からの借入金がなければ、他人から倒産の引き金を引かれることなどあり得ないのです。

 しかし、ただ単に借入金がない企業を選べば良いのか、というとそんなに簡単ではありません。確かに借入金がなければ、危機が訪れた時に倒産しないかもしれません。しかし、危機が去って経済状態が通常状態に戻っても、競争優位性がなければ、その企業が復活することはありません。やはりいちばん重要なことは「圧倒的な競争優位性」であると繰り返しておきましょう。

 株価的な観点でいうと、そのようなショック時代には全体相場は暴落していますから、想定していたのに比べて、より安い株価で投資できます。より安い株価で買うことが出来れば、ウォーレン・バフェットが言うところの「マージン・オブ・セーフティ」を確保することが出来ます。つまり株価が更に下落して、大きく元本を割り込むリスクは低下するからです。私たちのような投資の仕方をしていれば、株価の下落はむしろ歓迎といっても良いでしょう。

 参入障壁が全く蝕まれておらず、一時的な経済のショックで株価が全体的に下げているのであれば、ここは買い増しても良いくらいです。