優良企業の株価は必ず復活してきた

 長い間、投資をしていると、経済環境全体の不調で株価が大きく下げる場面には何度も直面します。

 たとえば2000年にはITバブルの崩壊、2001年は同時多発テロ、2007年にはサブプライムショック、2008年のリーマンショック、2010年の欧州ソブリン危機、2011年の東日本大震災、2015年のチャイナショックというように、幾度となく世界的な経済の停滞と株価の急落を経験しています。

 それらすべてのケースで共通しているのは、ちゃんと参入障壁を持った会社の株式に投資してさえいれば、経済環境がこうした一時的なショックから徐々に立ち直っていく過程において、企業利益もきちんと改善し、それに伴って株価も前回高値を抜いて上昇していくということです。したがって、株価の下落には一切狼狽する必要がないのです。

 大勢の投資家が恐怖におののいて、持ち株を全部ぶん投げているような時は、間違いなく絶好の買い場です。株式に投資する時は何回かに分けて買うわけですが、このような歴史に残るような暴落局面では、気合を入れて出来るだけ多く株式を買おうとさえ思っています。

参考記事
多くの日本人が行っているのは
「投機」であって「投資」ではない

私がコロナ暴落に一切うろたえない理由
奥野一成(おくの・かずしげ)
農林中金バリューインベストメンツ株式会社 常務取締役兼最高投資責任者(CIO)。
京都大学法学部卒、ロンドンビジネススクール・ファイナンス学修士(Master in Finance)修了。1992年日本長期信用銀行入行。長銀証券、UBS証券を経て2003年に農林中央金庫入庫。2007年より「長期厳選投資ファンド」の運用を始める。2014年から現職。日本における長期厳選投資のパイオニアであり、バフェット流の投資を行う数少ないファンドマネージャー。機関投資家向け投資において実績を積んだその運用哲学と手法をもとに個人向けにも「おおぶね」ファンドシリーズを展開している。著書に『ビジネスエリートになるための 教養としての投資』(ダイヤモンド社)など